胸にひそめた、私的もののあはれ等。
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 ガラスの靴は、何に使うのか。これは非常に大きな問題である。
食べるのか。食べれない。被るのか。被れない。
それでは、履くのか。これが、履けないのである。

食卓の上に置いてしばらく、眺めてみる。特に動きは無い。
話しかけてみる。応答しない。
困ったものだな、是を一体私にどうしろと言うのか。

希望というものは、食えない代物である。
私はこれから、掃除をしなければいけない。
それから、暖炉の煤払いをして、玄関を拭きあげなければいけない。

靴は、食卓にあってはならない。しかしこれはガラスである。
いっそただの靴ならば良かった。捨てるか、あげるか、
どうにかできるものを。
ガラスの上に履けないとは、まるで馬鹿にしている。


・・・そうだ、割ってしまえばいいのか。粉々に。
勘違いしないで欲しいが、諦める、ということではない。
はなから期待して居ない。無いに等しいのである。
ではこの、ガラスの靴は何なのか。誰が置いて行ったのか。

割れば済むか。いや、またそんな事をしたら屹度、
拭ききれないガラスの微細な破片が、姉たちの足の裏に刺さるんだろう。
そうしてわたしは、箒の柄でひどく打たれるんだ。

 
なんて忌々しい憂鬱の種。いっそ無理矢理、履いてしまうか。


 そういって彼女は、ガラスの靴を乱暴に掴み取り、放るように床に置く。
右足を靴へ伸ばす。彼女の右足はぴたりと、靴の中に収まる。


 嗚呼・・・、履けない。彼女はその場に、泣き崩れる。


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【2013/02/23 01:23】 | 文学
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